市政の動き−議会報告
【18.12.06】手話の普及・相談体制の整備など 西三河で初めての条例制定目指す
手話は言語とする基本認識をもとに当事者との検討重ね12月議会へ上程
知立市は、12月議会(12月5日〜21日)に「手話言語条例(案)」を上程しました。今後、本会議質疑、市民福祉委員会審議を経て、21日の本会議で採決します。この条例は、手話が言語であることを基本認識とし、手話の普及や手話通訳者の確保など、市の施策推進を目指すもの。愛知県は2016年に条例制定していますが、西三河では知立が初めてです。
基本理念を条例で定め手話の普及を目指す
手話はろう者(聴覚障がい者)の大切なコミュニケーションの一つであり、手指や体の動き、表情を使って表現・意思疎通をする非音声言語です。日本では、明治時代より、ろう者の間で大切に受け継がれてきました。2006年に国連の「障害者の権利に関する条約」で手話が言語であることが定義され、日本においても11年改正の障害者基本法において手話が言語に含まれる(第3条3項)とされました。「知立市手話言語条例(案)」では、手話の歴史を説明、市民が手話の意義を正しく認識し、理解を深めること、ろう者が手話を通じて必要な情報を取得し、手話により十分なコミュニケーションを図ることができる環境を整備すること、聴覚障がいの児童、保護者への相談体制の整備、学校での手話を学ぶ機会の提供、市の手話通訳者の確保なども定められています。
当事者の要望を受け 西三河初の条例制定へ
手話に関しては、知立市議会に14年9月議会に「国に対する手話言語法の早期制定を求める陳情」が市民団体より提出され、全員賛成で可決されています。その後も、知立市障害者地域自立支援協議会コミュニケーション部会にて、手話言語条例制定に向け、議論が行われてきました。
愛知県ではすでに、16年10月14日に条例が制定されましたが、西三河の自治体で条例が上程されたのは知立市が初めてです。
障害者自立支援協議会部会の中では、当事者の立場から、知立市の条例制定への動きについて「当事者、ろう協会、手話通訳者、行政が一つになって関心を集めている。条例を制定するだけでなく、制定後、きちんと継続していくことが大切」との意見も出されています。
条例に財政上の措置の明記を求める声
手話言語条例(案)では、手話の理解等の促進について、総合的かつ計画的に実施することが市の責務とされています。しかし、市の財政上の措置については規定がありません。市民から寄せられた意見(パブリックコメント)では、予算措置の明記がないことへの質問があり、また、自立支援協議会部会においても、財政上措置を明記すべきと提案がありました。市はこれに対し、障がい福祉計画で具体的な施策を検討すると説明。しかし、施策推進の基本条例にこそ、財政措置に関する基本的な条文をしっかりと定める必要があるのではないでしょうか。