市政の動き−議会報告
【23.06.02】NO,2179 聴覚障害者支援・手話通訳士の 育成支援及び活用について視察
野田市の手話通訳士育成支援と 千葉市の聴覚障害者センターを視察
知立市は平成30年に手話言語条例を制定し、手話通訳士の確保支援等を図ることを規定しています。
知立市議会・市民福祉委員会は全国の先進事例として、手話通訳士の育成支援を市の独自事業として行っている千葉県野田市と、千葉市にある「千葉聴覚障害者センター」を５月11・12日に視察しました。聴覚障害者支援施策や、手話通訳士の重要性を学ぶだけでなく、聴覚障害者が抱えている問題についても認識を深める機会となりました。
手話の理解・普及は小学生から。市に手話通訳士設置
野田市は令和２年４月施行の手話言語条例に基づき、市民が手話への理解、普及の促進をめざし、学習の機会、手話による意思疎通ができる環境整備をするなどを定めました。
主な施策として�‐�中学校生徒向けのパンフレット配布（４０００部）、�⊂�学校低学年や地域公民館への出前講座で手話の理解・普及を促進。�０媚彖堕未箴霾鹽礎�の環境整備では正規の手話通訳士を１人配置、週３日の派遣通者が６人で対応や通訳者の派遣 �ぜ袁団面�支援者の養成・育成に検定料や養成講座の受講料の助成を実施。このように条例制定に沿った具策化を積極的に行っている点は、教訓的です
一人ぼっちの「ろう者」は心の中で叫んでいる
配布しているパンフレットには、「聞こえない人のことを知ろう」と呼びかけ、耳が聞こえない人は、健常者からは分らない悩みを抱えていると説明。
「聞こえないからとイジメないで、いつもがまんしている」「聞こえない自分を責めてしまう。いつもストレスと葛藤で苦しい」「大声を出されても聞こえない」「地域や職場で人間関係がつらい、仲間に入りたい」「さびしい！誰からも声をかけられない、無視される」など、改めて、耳が聞こえないことがどれほど大変なことかを痛感します。ろう者が自分らしく生きるためには、手話コミュニケーションを中心とした多面的な支援が必要です。
手話通訳支援は緊急時や生活相談時に不可欠
千葉聴覚障害者センターは民設民営の聴覚障害に関する総合支援センターで、県から委託を受けています。手話通訳者や要約筆記者等の派遣や人材育成をはじめ映像事業や相談事業、介護関係事業として手話のできるホームヘルパーの派遣事業も行っています。その中で注目したのは、３６５日24時間対応の手話通訳等派遣事業です。ろう者がファクスなどで救急車を呼んでも、手話通訳者がいなければ、医師に症状を説明できません。そんな時、救急車から聴覚障害者センターに手話通訳の派遣依頼をすれば、登録された手話通訳者が病院に駆けつけ、医師と患者との会話をサポートできるというものです。
ろう者にとって不可欠な手話通訳士の養成講座（３年にわたり88回受講）の受講に対し、野田市のような奨励金（１回あたり８千円）があれば安心です
知立市でも手話言語条例 に対応した施策の充実を
知立市は平成30年に手話言語条例を制定し、手話通訳者の確保・支援等を図ることを規定しています。現在、知立市では３名の会計年度職員である手話通訳者が水曜日を除く平日の午前９時〜12時まで対応しています。知立市の聴覚障害者は１５０名おり、緊急時や夜間でも対応できる態勢作りが求められます。
