市政の動き−議会報告

派遣社員の使い回し、トヨタ車体が中止        (08.11.16付「かきつばた」より)

違法行為認めた以上、正社員にするのが当然だ

トヨタ車体が、派遣社員をいつまでも使いまわす違法な「クーリング」を中止したことが明らかになりました。富士松工場の一部では、3日に中止されました。日本共産党の志位和夫委員長の衆院予算委員会質問(10月7日)が、世界一の自動車メーカー、トヨタ自動車の中核会社を動かしました。

期間社員では、問題は解決しない

トヨタ車体の違法な「クーリング」を告発した志位委員長の質問に対する政府答弁は、「事実を調査し法に基づいて厳正に対処する」というもの。厚生労働省愛知県労働局は10月20日、県内主要な製造業を集めて派遣法の解釈について説明会・研修会を開催しました。その結果、トヨタ車体は「クーリング」の中止を発表しました。
 「クーリング」を中止したトヨタ車体は、派遣社員を直接雇用する期間工(契約期間は最長2年11か月)にする、と労働者に説明しています。しかし、派遣社員の願いは、期間社員ではなく安定して働ける正社員化です。
 トヨタ車体で働く労働者は、「クーリングが合法的と認められると全国に広がるところでした。志位さんが国会で取り上げたことで、水際で阻止された意義は大きい。低賃金で使い捨ての派遣社員を期間工にするのではなく、正社員にすることが重要だ」と話しています。

大企業は社会的責任を果たせ

トヨタ車体は、違法行為と認めた以上、これまで派遣として
働いてきた労働者に、安定した雇用を保障する重大な社会的責任があります。違法な「クーリング」までして、派遣労働者を3年を超えて働かせようとしたこと自体が、その業務が一時的・臨時的な業務ではなく、常用雇用の代替という、労働者派遣法からの重大な逸脱だったことを証明しています。正社員にすることは重大な責任です。

派遣社員のクーリングとは

トヨタ車体では、A直とB直の2グループがあり、一週間ごとに昼夜勤が変わります。同社は、10月からA直の派遣社員をB直に集め、A直の派遣社員をゼロにしました。「3か月と1日」が過ぎると、今度はB直の派遣社員をA直に集め、B直に派遣をゼロにします。A直、B直で派遣社員がいない「3か月と1日」の期間を交互につくり、派遣社員を永続的に使いまわそうというものです。この「3か月と1日」が「クーリング期間」といわれています。
 派遣労働には「臨時的・一時的」という原則があります。このため労働者派遣法には最大3年という派遣労働の期間制限が設けられ、それを超えると派遣先企業は労働者に直接雇用を申し込む義務を生じます。「クーリング期間」は、派遣労働が継続していないかのように見せかける手法です。  

非正社員の割合が38%。.派遣社員は倍増

厚生労働省が11月7日に発表した「就業形態の多様化に関する実態調査」(07年10月実施)によると、全労働者のうち、契約社員や派遣労働者ら非正社員が占める割合は37・8%で、03年前回調査より3・2ポイント上昇しました。なかでも派遣は全労働者の4・7%と前回の2・0%から倍増。派遣の37・3%は「正社員として働ける会社がなかった」と回答しました。
派遣労働は当初は専門業務に限定していましたが、99年に原則自由化、04年から製造業にも解禁され増大の要因に。06年度末で321万人にのぼります。

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