市政の動き−議会報告

【17.05.30】《危ない教育勅語》戦後国会で、全会一致で排除・失効決議〔安倍政権の〕学校での使用容認は許されない

戦前、教育勅語は戦争遂行の支柱:知立市の戦死者は419人[第2次大戦]

 安倍総理は国会で、森友学園の園児への教育勅語の唱和・刷り込みを「素晴しい」と絶賛。政府は「憲法などに違反しない形」で教材使用を容認。教育勅語は、明治23年10月30日(1890年)、明治天皇が宮中に山県有朋首相と芳川顕正文部大臣を呼び下賜したもので、教育現場で修身(戦前の道徳教育)の授業で、子ともたちに徹底して刷り込み、戦争に駆り立てました。戦後、憲法制定後の1948年6月19日の衆参両院本会議で全会一致で、「教育勅語は基本的人権、平和憲法と相容れない」と断罪され排除・失効が決議されたものです。

 勅語は天皇が臣民に下賜、徳目は皇室の隆盛のため

   教育勅語本文は315文字の短文で、「朕惟フニ」(明治天皇が)から始まり、「臣民」(国民)に命令しています。教育勅語は内容的に三つの部分からできています。
◆第1は、道徳と教育の根本が国体思想(天皇が永遠に統治する国)にあることです。天皇の先祖(皇祖皇宗)が日本国を始め、道徳を打ち立てたと記述しています。国民は天皇の家来であり、天皇に忠をつくし、祖先や父母に孝をつくし、多くの臣民が心一つに「忠孝の美風」を代々つくってきたとし、これが教育の根本と記述しています。
 主権在民の社会における道徳は、天皇が国民に与えるものではなく、教材になりえません。
◆第2は、なんじ「臣民」はと呼びかけ、「父母に孝ニ」から「一旦緩急アレバ義勇孝に奉じ」までの徳目をあげ列挙したうえで「以って天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スベシ」で締めくくっています。ひとたび重大事態があれば一身を捧げて皇室国家に尽くし、天地のように無限の皇室の隆盛に尽くせとしています。親孝行も兄弟仲も夫婦仲も、勉強も人格形成もなにもかも天皇への忠のためと位置づける道徳は主権在民の社会では通用しません。
◆第3は、徳目は天皇の祖先たちが定めたもので、明治天皇が急に定めたものではなく、普遍的であると強調し、天皇と「臣民」が共に守るべきで、この道は昔も今も永久に間違いないと正当性を強調しています。

教育勅語の使用容認は戦争容認の人づくりか

   戦前の絶対主義的天皇制のもと、教育勅語は戦争遂行の支柱として国民を戦争に駆り立て、アジア諸国民2000万人の命を奪い、国内315万人の命を奪うなど、殺戮と犠牲をうみだしました。知立市でも1509人が出征し、419人が戦死しました。18年度に小学校、19年度に中学校で道徳の教科化が始まる中、安倍政権による教育勅語の使用容認は、安保法制、秘密保護法、共謀罪法案、憲法9条改憲などの戦争できる国づくり、戦争を容認する人づくりと無縁ではありません。
 ただし、政府は教育勅語の使用容認するものの、国会で「教育勅語を教育の源泉として扱うことは適切ではない」(文科大臣答弁)とし、戦後の衆参両院本会議で全会一致で「教育勅語は基本的人権、平和憲法と相容れない」との排除・失効の決議を無視できません。憲法こそ平和の砦です。

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