市政の動き−議会報告
【23.06.02】NO.2179 企業誘致計画による農地減少は営農の死活的問題 農業委員会が 市に再度「意見書」を提出
食料は輸入すればよいという時代は終った 農地保全・自給率向上こそ=SDGs
知立市農業委員会は、2023年2月に知立市に「知立市農業政策に対する意見書」を提出、市は4月21日に回答しました。「意見書」は、20年度から31年度を計画期間とする知立市都市計画マスタープランに企業誘致を図るための産業促進拠点指定等による農地減少への危惧を表明、一層の農業振興を求めるものです。20年11月提出の「知立市農業施策に関する意見書」に次ぐ2度目の「意見書」であり、知立市は重く受け止め、一層の農業振興を図るべきです。
開発等で120㏊HAもの農地削減は営農の死活問題
市の都市計画マスタープランは、20年度から31年度を期間とし、企業誘致を図るために産業促進拠点を西町本田地区、上重原北部地区、八橋町東部地区、牛田IC北地区、西中IC西地区、谷田町北部地区の6地区を指定。今後、74㏊もの優良農地が削減の対象となっています。また、住宅用地として、市街化編入による農地減少も見込まれており、今後、最大120㏊もの農地減少を見込む計画となっています。「意見書」は特に、産業促進拠点への企業誘致計画による農地減少は営農にとって死活的問題と改めて訴えています。
「意見書」は農地保全・農業振興を強く要望
市は都市計画マスタープラン制定後、農業経営所得安定対策事業として水田畦畔(あぜ道)除去事業費補助金、農業機械等導入支援事業費補助金、農業振興対策事業として新規作物チャレンジ事業補助金を創設しました。今回の「意見書」提出は、現状は不十分とし、更なる農業振興を求めるものです。
◆営農者が農地減少により営農意欲を損なわないよう制度面や財政面で支援を要望しています。
◎各産業促進拠点での企業誘致による農地利用計画は全く示されておらず、農業経営に支障をきたしており農地利用計画を開示し、利用面積を最小限に留めてください。
◎虫食い的な開発とならないようにし、面的に広がりのある農地を確保すること。
◎営農者への収入補填(離農補償)、替地の補償など必要な対応をし、知立市の発展と引き換えに農業が衰退しないようにすること。
◎「知立市農業振興整備計画」に基き、長期に亘り農用地区域として農業振興が促進できるように、土地改良事業の再実施を行い優良農地の保全に尽力すること等々
農業委員会が望む回答とはならないのでは
市は農業委員会に、23年4月21日に回答書を提出しましたが、農業委員会が望むような回答とはならなかったのでは。例えば「営農者への収入補填(離農補償)」については、「農地転用の直接の原因者は開発事業者」であるとし、市としての対応を回避しています。また、「土地改良事業の再実施」については、「費用面での問題」を理由に再実施を拒否しています。
現在、世界人口は80億を超え気候危機による農業被害が続き、世界は飢餓と紙一重といわれ、食料は諸外国から買えばいいという時代は終わりました。日本の食料自給率は38%。農地を保全し、食料自給率を高めることは安全保障の最重要課題です。
知立市農業の振興はこの一翼を担い、持続可能な社会=SDGs実現の大きな柱と位置づけ、市は
一層の農業振興を推進すべきです。