市政の動き−議会報告
【16.12.09】《どうなってる!》「県内市町村の8割赤字」報道「ふるさと納税」
知立市:H27年度、ふるさと納税の収支は、差し引き約159万円の黒字だが。
中日新聞11月29日付1面は、「ふるさと納税8割赤字」の見出しで、「県内54市町村中、43市町村は『赤字』になることが判明」と報道。同県内版は、2015年度の各市町村の納税受入額及び16年度での税控除額に関する「県内市町村のふるさと納税・収支」一覧表を掲載、知立市は159万円の黒字と報道されましたが、実際はどうでしょうか。
過熱する返礼品競争に押され15年度から実施
知立市は15年度ふるさと納税受入額は4294万円あり、控除額は4136万円、差し引き159万円でした。知立市は返礼品の事業は15年10月から遅ればせながら開始、事業費(返礼品等)は2300万円でした。
事業化の背景は、寄付を得るために全国で豪華・高価な商品及び寄付額の5割・6割という返礼品が登場し、自治体間の返礼品合戦による税の奪い合いが過熱したことです。住民が他自治体に寄付をした場合、2000円を超えるふるさと納税額は住民税・所得税が確定申告の際、減額される制度になっているため、知立市は税収減となることを回避・増収を図る目的で参入しました。
交付税の補填なければ知立市も大幅赤字に
この制度は、居住している住民が他自治体に寄付をすればするほど、当該自治体の税収減となり、財政運営上困難をきたします。国は税収減を緩和するため、地方交付税の交付団体に対し、税控除額の一定割合を交付税で補填します。
知立市は交付団体であり税控除額の一定割合が補填されます。知立市の収支の実際は、納税額と交付税補填額の合計から、事業費及び住民税控除額の差引きで、約1600万円の黒字を見込んでいます。しかし、交付税補填がなければ約1400万円の大赤字というのが実態です。
「一分の理もない」県知事が厳しく批判
地方交付税の不交付団体は、税減収でも補填はなく、西三河各市(上表)の中で、不交付団体で大幅黒字は碧南市だけ、他は軒並み赤字、事業費を加えると赤字額が更にふくらむのが実態です。
大村県知事は中日新聞の紙上インタビューで、「この制度でいいと言い張るには、一分の理もない」
「改めるべきだ、そうでないと、どんどん矛盾が広がってしまう」「日本の政治の貧困を象徴している」と厳しく批判。この制度は、止めるに止められない「麻薬」です。元総務大臣の片山義博氏は、「国は無責任」「即刻廃止を」(12月1日中日新聞夕刊)と厳しく批判しています。