市政の動き−議会報告

【20.10.12】no.2055 市政会議員が 国保会計への繰出し金廃止を言及

特別会計は独立採算が原則との主張。一般会計繰出し金廃止では市民に負担

  9月15日、知立市9月議会は一般質問を行いました。一般質問で市政会の中島清議員は、市の財政運営はますます厳しくなると認識を示し、「特別会計は独立採算制が原則。国民健康保険特別会計(国保会計)への一般会計からの法定外繰入金の廃止をすべき」と発言、市に見解を求めました。しかし、国保会計への繰出しは財政運営の安定化や市独自の保険税低所得者軽減を行っています。この繰出しをゼロにすることは、増税など市民負担が増えることに直結、問題です。

法定外繰出金は福祉医療や健診などを支える財源

   国保会計は保険税、県支出金、一般会計繰出金などから成り立っています。繰出金には法定内と法定外の2種類があります。問題となった「法定外繰出金の廃止」とは何を意味するのでしょうか。その中には、中学校卒業までの医療費や障がい者医療費無料化の波及分、特定健診などの保健事業、また、所得の少ない人の保険税負担軽減の重要な財源です。さらに、高すぎる国保税の値上抑制緩和策として「その他繰出金」があります。上表は知立市の法定外繰出金の19年度決算額で合計8880万9553円です。
 ところが、国保会計の県域化により、国・県は「その他繰出金」廃止の方針を示しており、市はそれに従い20年度予算では廃止(ゼロ円)しました。これでは、国保税の値上げが心配されます。

繰出金廃止の質問に市は「渡りに船」と見直しを示唆

  中島清議員(市政会)は一般質問で、「新型コロナウイルスの影響で今後、市税収入が減少するのでは」とし、一般会計から国保会計への法定外繰出金の廃止を主張。市は過去4年間のその他繰出金の額を説明しました。19年度決算では全年度よりも3315万8534円減額となりました。
 その上で、中島清議員は「特別会計は独立採算制が本来のあり方」とする旨の見解を示し、法定外繰出金の廃止を求めました。これに対して市は、国保税の市独自軽減措置の見直しを示唆しました。国は所得が一定未満の世帯へ所得に応じて、保険税の均等割額と平等割額の7割・5割・2割の軽減措置(法定減免)を実施。知立市はその上で、均等割を独自で軽減しています。19年度実績では3345世帯で5201人が対象、実に、国保加入者の45%です。独自軽減廃止では、低所得者に一層の負担を強いることになり、問題です。

国民健康保険は法律に定める「社会保障」です

国保加入者は60歳から74歳が約58%で、「協会けんぽ」等と比べ所得水準が低いのは当然。しかし、現状は協会けんぽより高い保険税であり、繰出金なしでは運営は困難です。国民健康保険法第1条は「社会保障」と定義しており、国・県・市が公的責任こそ、重要です。市は法の趣旨に基づき、その他繰出金の継続すべきです。

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