市政の動き-議会報告
【21.06.30】デジタル関連法 個人情報保護の壁を低くし情報利活用へ プライバシーが守られるのか懸念
「匿名加工」もAI技術で個人特定の危険 法にプライバシー権の規定を
デジタル社会形成関連6法案が6月12日、与党などの賛成で成立 。関連法は、国、独立行政法人、民間、地方自治体が保有する膨大な個人情報を利潤追求に活用することに重点をおいたものです。そのために個人情報保護3法の一元化、マイナンバーへの医療保険証や運転免許証、32の国家資格、任意での銀行口座への紐づけを行います。日本共産党の佐藤おさむ議員は6月議会、個人情報保護について質問しました。
個人情報が本人同意なしで全て利活用の対象に
デジタル関連法(左表)成立について市の認識はとの質問に、「あらゆる情報を集積しながら、行政が持っている個人情報を企業などが利活用しやすい仕組みになる。個人情報保護という観点をしっかり遵守してゆきたい」と答弁。関連法は個人情報を利活用するため、個人が特定されないように加工した「匿名加工情報」として扱い、個人情報保護の対象から除外、本人同意なしに利活用できるとしています。
「匿名加工」しても、AI技術の発達により個人が特定される恐れがある。関連法は、個人情報に関するプライバシー権を規定していません。市は国に対して、プライバシー権を規定するよう求めるべきとの質問に、「新しい個人情報保護法を良く検証し、必要があれば、国に求めて行きたい」と答弁するのみです。
個人情報の分散管理から集中管理へ、保護後退へ
現行の個人情報保護の体系は、①個人情報保護法、②行政機関個人情報保護法、③独立行政法人等個人情報保護法及び自治体等の個人情報保護条例から成り、分散管理で個人情報を保護しています。
デジタル関連法は①②③を統合し、自治体の個人情報保護条例を全国共通ルールに統一します。全体の管理を国の個人情報保護委員会の集中管理になり、保護の垣根がなくなります。又、マイナンバーに医師免許など32の国家資格の管理、銀行口座(当面希望者)に紐づけし、個人情報を網羅的に管理、利用することが可能となります。
国民監視社会への危険が
現行個人情報保護法は、自治体、行政機関が法令に基づいて個人情報を利用でき、警察は「刑事訴訟法197条に基づき、捜査関係事項照会」ができます。知立市への照会はとの質問に、市は「H30年度1285件、R元年度1319件、R2年度1365件」と答弁。佐藤議員は集中管理され、マイナンバーに紐づけされた網羅的な個人情報が、警察の捜査関係事項照会により、無制限に引出され国民監視社会への危険性増大が懸念されると強く指摘しました。