市政の動き−議会報告

【21.07.07】認知症 予防 高齢者の補聴器購入補助を提案 「聞こえの支援」積極的に=日本共産党=

難聴の放置は認知症発症リスクを増大と指摘 しかし15万円〜50万円と高額、利用は進まず

   知立市議会6月議会の一般質問で日本共産党知立市議団の牛野北斗議員は「市民に寄り添った市政のいっそうの推進」をテーマに質問。これまでも取り上げてきた加齢性難聴対応の補聴購入補助制度の創設を求めました。補聴器購入補助については昨年12月議会に市民から実施を求める陳情が市議会へ提出され、期待が高まる課題です。認知症発症の危険因子の一つに難聴をあげられ、早めの補聴器使用が求められます。市は「聞こえの支援」として、早期の実施をすべきです。

補聴器への購入補助制度創設は市民の期待は高い

   日本共産党は補聴器補助について、2019年6月議会などで市独自の補助制度の創設を提案、また、20年12月議会へは市民から「中等度からの加齢性難聴者に補聴器購入助成制度を求める陳情」が提出されました。日本共産党の提案に市はこれまで「認知症予防やコミュニケーション支援として有効性は認める。しかし市単独補助は財政的・費用対効果から優先順位等を検討する」と答弁ししています。6月議会で牛野議員の再度の提案に市は「補聴器の有効性も含め、国の研究(エビデンス)をまって考えたい」と答弁するのみです。牛野議員は「難聴を未治療でいると10年間以内で認知症を発症する確立が50%、うつ病発症が40%」等の研究報告を紹介、補聴器の早期利用の必要性を改めて強調、補助創設を要求しました。

国は新オレンジプランで難聴を危険因子と指摘

国際アルツハイマー病会議の報告では認知症の約9%が難聴で中年期から聴力低下への対策が必要としています。また、国の新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略、15年1月策定)では、25年までの認知症に関する取組みをまとめ、認知症発症の危険因子の一つに難聴をあげています。知立市は認知症予防対策として、認知機能課題・脳トレと運動プログラムを組み合わせた「いき活き教室」等を実施。しかし、「認知症と難聴」に着目した対策はありません。

日本は補聴器利用後進国 「聞こえにくい」は要注意

   現行の補聴器購入の公的補助は、障害者手帳の対象となる高度・重度の難聴者(聴力レベル70〜120デシベル)のみ。加齢による難聴では、中等度難聴者(40〜70デシベル、通常のテレビの音が聞こえにくい)は対象外です。しかし、予防に有効なのは、40デシベルからの支援です。そもそも、補聴器は薬機法による医療機器で、耳鼻咽喉科医師による助言を受け、調整や購入後もメンテナンスが必要で、市販の集音器とは異なり、購入金額も両耳で15万円〜50万円以上と非常に高額です。
 耳の老化は30代から始まるとされ、加齢性難聴は高い音や電子音が聞き取りにくくなり、日常生活やコミュケーションに支障が出ます。「テレビの音が大きい」「話をよく聞き返すようになった」「話声が以前よりも、大声になった」という場合は要注意です。日本補聴器工業会の18年に難聴者への調査では日本の補聴器利用率は14%程度で、英国42%、米国30%と比べ低迷。市は「聞こえの支援」として難聴者への受診、補聴器使用の啓発・購入補助で、生活の質を高める取組みを行うべきです。

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