市政の動き−議会報告
【22.11.19】NO.2155 保育士 配置基準 70年前の基準のままでいいか 災害時、子どもの命を守れない
「保育士配置基準改善を求める」請願書提出に 先立ち、愛保協が市議会の会派を訪問・説明
11月15日愛知保育団体連絡協議会加盟の知立市内の小規模保育園(さくらんぼ保育園、華の子ランド)園長等が議会各会派を説明に訪れました。訪問の目的は国に対して「保育士配置基準改善を求める意見書」提出を求める請願書の趣旨説明と紹介議員となることの要請でした。資料として、愛保協が県内労働組合の協力を得て、保育者と保護者から集めたアンケート結果が提出されました。そこには、保育者・保護者の切実な声が寄せられています。
保育士アンケートに 寄せられた切実な声
保育士アンケートには、2648通の回答が寄せられ、その中で、「災害時に子どもの命を守れない」と感じている保育者が8割を超えています。毎日のように行われる散歩や夏のプール遊びなどでも、今の保育士の数では安全面で不安を感じている保育者が6割。食事・早朝夕刻保育・日常の遊びなどでも不安を感じている保育者が多く、勤務時間中、強い緊張状態が強いられていると訴えています。「避難訓練で0歳児2人はおんぶと抱っこできるけど、3人目はどうすることもできない」「3歳児の20人がお昼寝しているときに災害が起きたら全員起こして、障害児も含めて一人残さず、私一人で避難させる自信がない」「子どもの発達には個人差があり、1歳児でも歩けない子がいる中、1対6の配置ではおんぶ、抱っこ、両手をつないでも守れるのは4人まで。残りの2人を声掛けで避難など到底無理」「保育士配置基準は何事も起こらない前提で成り立っている。常にぎりぎりの状態で何が起こっても子どもの安全を守れる自信がない」等切実な声が満載。
保護者のアンケートでは
朝夕の送迎時に保育士の数が足りないと感じたことがあるかとの問いに「足りていないと感じる」保護者が90%。「子ども同士が喧嘩をしているとき、保育士が他の子にかかりきりで、すぐに対応できずにいた」「いつも忙しそうにしている。聞きたいことがあっても声をかけずらい」「1歳児クラス、トイレへ行ける子がトイレから出てきた後、先生は他の子のおむつ交換をしていて裸のまま」など保護者からの声も切実です。
国基準、4・5歳児30人に1人、3歳児は20人に1人
現在、日本の保育士配置基準は左表のとおり、0歳児3人に1人、1・2歳児6人に1人、3歳児20人に1人、4・5歳児30人に1人です。
児童福祉法が施行された1948年から4・5歳児は保育士一人当たり30人のまま。1・2歳児の6人は50年間変わっていません。小学校ではコロナ禍を受けて、国が順次全学年での35人学級が決まり、中学校でも35人学級が進められています。一方、就学前の4・5歳児保育は30人に1人とはあまりにもひどい状態です。
知立市の配置基準は 1歳児を4人に1人
国の配置基準で1歳児は6人に1人ですが、それでは対応が困難なため、知立市も含め、多くの自治体や民間保育園でも保育士の加配が行われています。配置基準は国の園児1人当たりの公定価格の基になるため、加配した保育士の費用は市の持ち出しとなります。ただし、小規模保育事業の場合、市の補助がなく国基準の交付金のみの運営となり園の運営は厳しくなります。
保育士配置基準を改善し、適切な保育環境を
多くの保育園は11時間以上開園しているため、交代勤務制をとっています。しかも、常時複数での保育が求められており、子どもが一人でも2人の保育士が必要です。そのため、定員の倍近い保育士が配置されています。全員を正規職員で対応することは経済的に不可能なので、短時間勤務のパート職員に頼らざるを得ません。保育士が働き甲斐を感じられるような保育環境を整えることは喫緊の課題です。