市政の動き−議会報告
【23.07.17】NO.2187 企業誘致最優先で農業が衰退していいのか =6月議会=
民間主導で営農者は置き去り、耕作断念に追込む手法は酷い
知立市は企業誘致のため、優良農地を大巾に減らす計画で令和13年度までに最大87㏊も減少するとしています。知立市農業委員会は、「農地の大巾減少は営農の死活問題、知立市の発展と引き換えに農業が衰退しないよう」訴えています。また、開発区域内(西中地区)の医療法人からは、「工場が隣に来るのは困る」との困惑の声が上っています。日本共産党の佐藤おさむ議員は、6月議会一般質問で市の対応を質しました。
西町地区、上重原地区、西中地区を先行開発、30ha農地減少
西町地区、上重原地区、西中地区を先行開発、30ha農地減少 市は企業誘致のため、産業促進6拠点を決め、西町地区、上重原地区、西中地区を先行開発する方針です。3地区の耕作面積の73%を荷い手農家が耕作している中、全て開発されると約30㏊の農地が減少し、年間1900万円(市答弁)もの大巾減収になります。
世界人口が80億人を突破し、気候変動による農地消失等で世界は飢餓と紙一重と言われ、食料は安い外国から買えばいいという時代は過ぎ去りました。食料自給率39%の日本、自国での食糧生産のための農地保全、農業振興が一層求められる時代、
合法的というものの、何とも 残酷な開発手法、企業誘致です
企業誘致は民間事業者主導で、開発事業者と農地所有者との相対取引きで進み、土地を借りて営農している荷い手農家は置き去りにされ、耕作を断念せざるを得ない手法で行われます。佐藤議員は「営農者は置き去りにされるのでは」と質問。市は「その懸念があり、丁寧な説明が必要」と答弁するも、耕作断念に追込まれるのは必須です。都市計画法に基く市の開発条例は、合法的というものの、何とも残酷なやり方です。本当にこれでいいのでしょうか。
市は荷い手農家の声を真摯に聞き、農業振興策の拡充、損失補償及び替地提供等に誠実な対応をすべきです。
説明責任を果たしたとは言えない
西中地区の医療法人から、「施設の隣に工場ができると市から説明を受けたが、環境が悪くなり絶対反対」との声があがりました。また、民家の方は「出ていくかどうか、困っている」との悲痛な声を上げています。
佐藤議員は、都市計画の基本方針に「周辺環境に配慮する」、開発条例には「周辺の環境に悪影響を及ぼさないこと」と記載している。「市は指定区域を決める前に法人に説明、意見聴取をしたのか」と質問。市は「していない」「丁寧な説明をしていく」と答弁。佐藤議員は「医療法人の隣接区域を除外する見直し」を提案するも、市は「23号線インターが近く企業立地に適している」等を理由に見直しを拒否しました。これでは説明責任を果たしていると言えません。
知立市人権尊重のまち宣言」を敵視する統一協会の陳情は全議員が反対、不採択
統一協会提出の「『知立市人権尊重のまち宣言』の内容の一部再考を願う陳情」は、6月30日の本会議で全会一致で不採択としました。市の「宣言」は「性的指向」「性自認」という新たな人権の課題に対応するものです。
陳情はこの文言の削除を求めるもので、「LGBTや『性の多様性』はイデオロギー」と述べ、「LGBTは先天的なものではなく、後天的であり精神障害」と切捨て、ジェンダー平等を敵視しました 。佐藤議員は委員会及び本会議で、差別は現存し、人々は現に存在していると指摘し、精神障害呼ばわりしたことを厳しく批判しました。