市政の動き−議会報告
【24.04.07】NO.2221 地方議会も、経済界も、世論でも 選択的夫婦別姓を求める流れが加速
夫婦の同氏を法律で義務付けている国は、日本以外に見当たらない=国連が繰返し懸念を表明
香川県は3月19日までに、県議会と全17市町議会が選択的夫婦別姓を求める意見書を可決し、大きく報道されました。また、経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)は3月13日、選択的夫婦別姓制度について「一丁目一番地としてぜひ進めていただきたい」と定例記者会見で述べ、大きく注目されました。各種世論調査でも7割前後が容認し、選択的夫婦別姓制度を求める声が大きなうねりとなっています。実現に向け、知立市議会も力を尽くすべきです。
経営者らが1000筆超の署名を政府に提出
選択的夫婦別姓・全国陳情アクションによると、「地方議会で可決された意見書は、24年3月時点で380件以上にもなった」(東洋経済3月16日、web版)としています。また、「国際女性デーの3月8日、「日本経済団体連合会(経団連)や新経済連盟(新経連)、経済同友会、選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会、全国女性税理士連盟、日本跡取り娘共育協会の6団体が選択的夫婦別姓制度の早期実現を要望。法務省や外務省、首相官邸などに対して、同制度を定める法改正の要望書や経営者らによる1000筆超の署名を手渡した」(週刊金曜日オンライン4月1日付)と報じました。
婚姻前の氏の使用不可で 婚姻後の生活に支障が
女性の約98%が結婚に伴い氏を変更。家族形態の変化や生活様式の多様化の中、婚姻前の氏の使用不可により、婚姻後の生活に支障が生じています。◆論文の連続性が認められないなど仕事の実績や成果が引き継がれない、旧姓の通称使用は企業と本人にコストが掛り女性活躍の妨げになる。◆パスポートへの旧姓併記は、パスポートの所持者が渡航先国の出入国管理当局などから説明を求められたり、査証(ビザ)や航空券の氏名に旧姓を使用するとパスポートの氏名と異なりトラブルとなるなど、国際社会で通用しない。◆実家の姓が絶えることを心配して結婚に踏み切れず少子化の一因となっているなどです。
◆夫婦の同氏を法律で義務付けている国は、日本以外に見当たらない。国連の女子差別撤廃委員会は、03年以降、繰り返し現行制度への懸念を表明。19年の「ジェンダーギャップ指数」が153カ国中121位など、我が国の女性の地位は国際的評価は著しく低い状況。制度の在り方の検討においては、こうした国際的な視点も踏まえていく必要があるなどと指摘されています。
愛知県議会01年9月定例会で 秋田議員(当時)が趣旨説明
01年9月愛知県議会は、知立市選出の故秋田政幸県議(自民)が選択的夫婦別姓制度導入・検討の意見書案について「選択的夫婦別姓制度は、五年前に法務省の法制審議会が民法改正の答申を出しており、その後の世論の動向では、ライフスタイルの多様化などにより導入に向けた国民の理解が広がってきております」などと趣旨説明、全会一致で意見書を可決しました。
同姓であることだけが家族の絆の源ではない=林市長
20年12月議会、日本共産党の牛野議員(当時)の選択的夫婦別姓への認識を問う市長への質問に、林市長は「夫婦同姓を法律で義務づけているのは、主要国でも異例ということであります。反対意見の代表例は、家族の一体感を損ねるということでありますけれども、様々な家族の在り方、多様な価値観を尊重する社会づくりとともに、選択的夫婦別姓制度の導入につきましては、個人的には賛成」との認識を表明しました。
知立市議会でも取組強化、更なる世論形成に力を尽くす時です。日本共産党は意見書提出を提案したいと思います。
500年後は佐藤姓ばかりになるの?
東北大の吉田浩教授(経済学)は、同姓を義務付ける現行制度が続いた場合、現在最も多い佐藤姓との婚姻が増え、これを繰り返して長い時間を経ると佐藤姓に吸収されていく可能性があるとして、100%になるまでの年数を試算。結婚や子の誕生などで佐藤姓の人口が年0.8%ずつ増え、2531年には100%となった。 選択的夫婦別姓を導入した場合は、佐藤姓の占有比率が100%になるのは3310年だった。
吉田教授は「姓が失われる試算とも言える。姓の持つ伝統や文化、個人の思いを尊重するため、姓の存続を考えるべきではないか」と話した。(4月1日共同通信)