市政の動き−政策・見解
【25.11.09】NO.2297 高市政権「米増産」路線見直し 主食用米の価格・数量の安定供給は
コメの安定供給は国の責任で農家も消費者も納得できる米価設定を
25年産の主食用米の収穫量は前年比１割増の７４８万トンになると農水省は推定しましたが、米の価格は高止まりしており、銘柄米は更に値上がりを続けています。しかし、コメ卸では「高値で買ったコメの販売先がない」と言う声も聞こえており、市場任せではコメの供給と価格の安定は望めないのではないかと言われています。生産者も消費者も安心できる農業政策が求められています。
主食用米の安定供給は続けられるのか
今年の主食用米の増産の理由は、これまで飼料用米や麦から主食用米の栽培に変えた農家が増えたためで、耕作面積や農家が増えてわけではありません。そのためブランド豚などの餌に使われていた飼料用米が不足し、養豚業者や養鶏業者の経営を圧迫しています。代替の輸入トウモロコシの価格も高騰しています。
政府は毎年、主食用米の需要と供給の見通しを発表します。需要減を理由にこれまで生産量を抑制してきました。水田で大豆や麦、もち米や飼料用米を作った農家に交付金を出しています。そのため大規模農家では管理農地で米、麦、大豆を輪作しており、米作りの面積は大型機械の能力で決めています。急に米の作付面積を増やそうとしても新たに田植え機やコンバイン、もみの乾燥機、もみすり機など一式数千万円の投資と人員の確保が必要です。（市内専業農家談）
安い米は農家の赤字で成り立っていた
最近の米価は１俵換算すると４万６千円、24年産の生産者米価は１万９千円で市場価格の半分以下。そのためＪＡあいち中央ではＪＡに出荷しているのは40％以下で他は生産者自身の保有米とか生産者が別の流通ルートで販売しています。そのため大規模農家と大手卸業者の間で生産者米価が決まっています。農水省の統計によると、コメ農家の22年の平均収入は３７８万円、機械代や肥料代を除いた所得は１万円で平均労働時間で割ると時給10円です。これでは農家は減るばかりです。
食糧法、新農基法の改正が必要では
平成７年それまでの食糧管理法が廃止され、備蓄米とミニマムアクセス米（輸入米）だけが政府管理で農家は出荷数量を食糧事務所に届けるだけで直接消費者に販売でき、かつ単位農協も経済連を通さず卸・小売に販売できるようになりました。そのためコメは自由競争の価格設定になりました。
農業の憲法と言われてきた農業基本法も平成11年に「食料・農業・農村基本法」（新農基法）に改正され国民への食料供給という視点が加わり、食料自給率の目標が盛り込まれました。農業分野では�＾嬪澆△訝瓦ぜ蠅粒諒檗Π蘋��∋埔豸桐�を重視した価格形成��主要農産物の生産努力目標の設定を掲げています。
新農基法で掲げた、様々な目標や振興策は実現の可能性はあるのでしょうか。食料自給率は昭和35年の79％から37％まで下がり、特に畜産物は大部分を輸入飼料に依存しており自給率は17％にすぎません。
政府の責任で米価安定と 所得補償で安定生産を
米価高騰に対して、25年度は備蓄米放出で価格を下げましたが、備蓄米は令和７年３月末の96万トンから現在の枠が全て販売された後の在庫は30万トンを切っています。安定した供給と備蓄米の補充を進めるためには安心して増産できる仕組みが必要です。そのためには以下の制度改正が必要です。
�ー�然災害も考慮したゆとりある需給計画
��農地面積や生産に応じた農家への直接支払い（所得補償）
�Ｈ稜箍然覆�基準より下がった場合に差額補填する価格保証
�と�蓄水準を大幅に引上げてコメの過不足への対応・価格変動の調整機能を果すこと。
